北の富士 櫻屋 02

昭和14年創業の老舗ちゃんこ鍋専門店。北海道の海鮮をふんだんに使った伝統ある鍋は、地元の方にも観光客にも愛され続けています。そんな北の富士では、「ちゃんこ鍋」と「スタッフさんの好きなもの」を絡めた、とてもユニークな活動をされているようです。3代目社長の竹澤さんにお聞きしました。

 

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 代表取締役 竹澤 一樹さん

 

 

—まず、仕事内容について教えて下さい。

「仕事の内容はシンプルです。おいしい料理をつくるための料理人がいて、気持ちのいい接客をするためにホールスタッフがいて、いかにお客さんを喜ばせるかっていうのが私たちの仕事ですね。」

 

—お店の特徴はありますか?

 「ちゃんこ鍋専門店というのは、旭川でも少ないです。普通の飲食店と仕込みから違うと思いますね。そんなにこまごまとした仕事はなくて、豪快な仕事が多いです。毎日大きな窯をつかって、700羽の鶏でスープをつくります。2日で3トンです。飲食店としては、日本で一番つかっている会社ですね。この味は日本のどこにもないので、僕的には旭川の郷土料理くらいに思っています。歴史と味があるからこそ、お客さんがわざわざ選んで来てくれているんだと。

 お鍋はお客さんがつくるのではなくスタッフがその場で完成させるので、食材の説明をしたり、世間話をしたり、コミュニケーションをとりながらの接客というのも特徴ですね。」

 

—お客さんはどういった方が多いですか?

 「特別な時に来る方が多いです。リピーターの人もいますが、誕生日や結婚記念日、あとは会社の接待などイベントで来てくれていますね。他のお店ではあまりないことなのかなとは思います。」

 

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—やっぱり鍋というと、冬場とっても忙しそうですね。

 「そうなんです。正直冬だけ人手が必要なんです。例えばゴルフ場って逆で、夏が忙しく冬はそんなに人手が必要ない。なので、うちと逆パターンの会社と協力することも考えますよね。夏は農家やりたいという人が、冬はうちで働くとか。」

 

—道外から来られる方は歓迎しますか?

「ウェルカムです。逆にそう言う人の方が楽しいですよね。地方の味を知っているじゃないですか。郷土料理や文化を教えてもらいたいですね。」

 

—どんな人と一緒に働きたいですか?

「とりあえず、明るい人ですね。暗い表情の人だと、お客さんの気分も乗らないじゃないですか。あとはきれい好き。料理人に関しては元気も大事ですし、やっぱり健康ですね。」

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—ところで、創業っていつなんでしょうか?

「創業は昭和14年。もともとは食堂でした。鍋を出しているうちに、おじさんが(元横綱北の富士)横綱になって名前が売れてきて、それに乗っかっておじいさん(初代)がちゃんこ屋やろうって。じいさんはわりとプラプラとしている人でしたね。父(会長)は東京で料理人をやっていたんですが、早く後を継げって言われていたみたいです。」

 

—あれ…そうすると会長さんはUターンして来たんですね。

「実は僕もそうなんです。旭川で生まれたんですが東京で8年間働いて、ここを継ぐために帰って来ました。修行で行った身だったので、早く帰りたかったです。」

 

—戻って来てよかったと思いますか?

「もちろんですよ。住むには環境もいいし、帰って来たらやっぱり楽だなって。僕にとってはいいことばっかりでしたね。」

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 【思いを伝えに、炊き出しに行く】

 

—お店以外に、イベントにも出ていらっしゃいますよね?

 「そうですね。イベントに出店したり、外に出ていることも多いですね。食べマルシェやファイターズのスタルヒン球場、夏には駅前のビアガーデンでも出しています。

 それから最近、お店の製品で小籠包をつくったんです。北の富士のちゃんこを小籠包に詰めたものなんですけど。北広島の工場に委託してつくってもらうんですが、その工場には300人くらい働いているらしいんですよね。この味を小籠包に詰めてもらいたいんです、っていう僕の思いを伝えに、炊き出ししに行こうと思ってるんです。そうしたらみんな気持ちよくつくってくれるかもしれないじゃないですか。いいものつくって貰いたいので。宣伝にもつながりますし(笑) 目先のお金よりも、将来を見据えていくことを大切にしています。」

 

—社内でのイベントや行事はあるんでしょうか?

 

「今年からなんですけど…社員さんが楽しみながら、何かできないかなと思って。本人も楽しいし会社にもメリットがあるような試みを、やってみたんです。」

 

⑴釣り好きな社員さん

 彼はタラ釣り、ブリ釣りなどをするんですが、仕事を休んで行っておいでって言ったんです。土曜日だったかな?普通土曜日は忙しいので休めないんですよ。交通費も船代も全部出すから、釣れたものはお店にいれてくださいという条件で。結果として大量に釣れたから良かったんですけどね。本人も楽しかったし、会社も普通に買うより安くて新鮮なものが手に入ったし、お互いにメリットがありました。

 

⑵サバイバルゲームが好きな社員さん

 プラモデル屋さんが主催しているサバイバルゲームの大会があるんですけど、みんな昼食はコンビニでおにぎり買ったりしているんですって。なんかそれ寂しいよねって話をしていたみたいで。僕に何かできることはないかな?と思って、現地の山奥まで炊き出しをしにいったんです。60人くらいの人が集まっていました。そのイベントも土曜日だったので普段は仕事なんです。でもイベントに参加できたから本人もうれしいし、うちは宣伝ができたって感じで。みんな喜んでくれました。

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—みんなの趣味を絡めた活動って、いいですね。

 「本人が楽しみにしているものに便乗させていただく(笑) これからもっとやりたいなと思っています。子どもがいる人は運動会に出てもらって、会場で炊き出しやらせてくないかな…とか(笑) そういう宣伝活動もしていくつもりです。」

 

—とっても素敵ですね!

「とりあえず何でもやってみるっていう。失敗したらやめればいい。やらないで文句を言うのは嫌なんです。お客さんをどう喜ばせるとか、社員をどう喜ばせるかとか、いつも考えています。」

 

—社員さんの方から、提案もありますか?

「24時間のママチャリレースに出ませんか?っていう企画をだしてくれましたね。イベントが被ってしまって今年は出られなかったんですが、来年は出たいです。もちろんお店の幟を背負って(笑)

 他にも、日本酒が好きだから日本酒の会をやりませんか?という提案もありましたね。来年ビアガーデンでやろうかなと思っています。鍋も出して、日本酒も酒屋さんとコラボして。」

 

—アイディアが出てくるって、すごいいい環境ですね。

 「何でもやったらいいじゃん、一緒にやりますかって。それから判断します。僕キャップって呼ばれてるんですけど、「キャップ本当にやるとは思わなかった!」って言われたこともあります(笑) いろいろ提案してもらうのはありがたいです。仕事にも生かしてますしね。」

 

 

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—竹澤さん、スタッフの皆さん、お忙しい中ありがとうございました。